乙郎さん

LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標の乙郎さんのレビュー・感想・評価

4.0
 レンタルDVDにて鑑賞。

『ルパン三世』のテレビシリーズというのは、個人的には小学校の頃、学校から帰ると再放送がやっていた世代なのでなじみがある。赤いジャケットだったから第2シリーズだ。 
 ので、この類のハードボイルドさとかいかがわしさとかは、自分にとって大人の世界を象徴するもの、あるいは、その入り口になっている。けれども、実のところその「第2シリーズ」自体がかなり薄められていたものだったというのは、原作漫画を読んだ時に思い知らされることになったんだけど。

 そして、TVシリーズ『峰不二子という女』から端を発する新しいルパン三世の流れは、この「ハードボイルド」を煮詰めて作ったような作品であり、声優交代もあって、仕切り直しというイメージが強い。
 そして、この映画は、本来OVAで発表されるところを好評を受けて劇場公開したもの。ルパン一味で唯一続投している次元大介役の小林清志自身に献辞をささげるような作品に仕上がっている。

 まず、この、お世辞にも現代的とは言えない絵柄の人物たちが、現代的なアニメ技術によって裏打ちされた映像の中を飛び回るということ自体、映像的快楽が強い。現代にいながら60年代を味わえる感覚というか。
 また、荒唐無稽な悪役が登場し、その中でルパン三世や次元大介が矜持を見せる姿、そして、ラストのやり取りを見ると、「そうか。これが俺の観たかったルパンなのか」と思わせられる。
 現代的な意匠を用いて、過去のポップアイコンをアップデートするという試みでは、ひょっとすると『007 スカイフォール』にも近いかもしれない。
乙郎さん

乙郎さん