MARUKO

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のMARUKOのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

天才の実話系の映画は観ていてゾクゾクするから、すごく好きなジャンル。
天才には必ず敵ができる、壁がはばかる。他人が理解できないところにいるが故に。それにまっすぐに頭で、言葉で立ち向かう様が観ていて気持ちがいい。気持ちがいいんだけど本作は…

アランは頭が数学に突出しすぎている。
いつも誰にも理解されない、誰も理解できないのだ。(それゆえ心を閉ざしてしまったのか?…)人間関係にかなり不器用で、あまりに純粋で素直すぎる。失敗もするが、それが愛しくみえることもある。リンゴを渡しちゃう辺りなんか可愛い笑

こういう映画で一番鳥肌が立つポイント、“わかったぞ!!”その瞬間。
しかしこの映画はその後を大切にしている。
戦争のために戦った天才は、最後まで誰にも理解されることはなかった。エニグマを解読することを成し遂げただけでなく、その先を見据える思考力。
誰もついていけない。理解できないから正直にしか話せない不器用な彼が正直に話したところで、疑われ、嫌われ。
憔悴しきった最後の彼をみて、かつての人の欲が、歴史が、一人の天才の命を奪ってしまった悲しみを、彼に投影しているようにも見えた。

戦争を背景にしているからもちろん戦争描写もあるわけだが、その描写中美しい音楽が響き、まるで博物館を拝観して回るような。

おそらく本人は報われるために、称賛を受けるためにやっているわけではない。
自分にしかできないと思っていたのだろう。
だから余計に切ないし、心苦しい。
最近は戦争ものをよく見るが爆撃繰り返す裏で、頭を駆使した戦いがあったことを知った。

人間は頭がよくなりすぎた気がするな、そんな気がした。
MARUKO

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