emily

犯罪「幸運」のemilyのレビュー・感想・評価

犯罪「幸運」(2012年製作の映画)
4.6
羊飼いの娘イリーナは両親を、残虐に殺害され、自分は数人の男にレイプされた過去を抱え、ビザを持たずわベルリンにでて、娼婦の仕事を始める。ある日路上でラブラドールを連れたホームレスのカッレに出会いやがて恋に落ちるが、ある日、大物政治家にサービスの最中、心臓発作で突然死してしまう。

冒頭の田舎の自然美と音楽の融合
美しすぎる鮮やかな田舎の風に、対比する辛い現実が際立つ。

場面の切り替えにも音楽を効果的に使っており、多種類の音楽を挿入することで、心情や街の雰囲気を効果よく映し出してるのが印象的。

またスローモーションが幸せな瞬間をそのまま切り取る感じで、二人の溢れる笑顔がキラキラと眩しく輝いている。

愛の力が人を静かに変えていく、その過程が大げさではなく、言葉に出さなくても分かり合える二人の空気感がしっかり描写されている。イリーナの過去をはじめにしっかり描いてるからこそ観客も感情移入しやすく、その幸せな日々がずっと続いて欲しいって願ってしまう自分がいる。

二人のなんでもない日々が奇跡で、出会うべきして出会った二人ならではの時間の流れが本当に幸せそうで、余計なことは何も聞かない思いやりに溢れる時間が、私に取っても胸がキュンとなる幸せな時間になりました。

愛のためにとったカッレが取った行動は、心の痛さが視覚と音で訴えかけられ、同じように苦しくなった。

美しすぎる愛の物語は時に残酷である。ただ、その残酷さも愛ゆえ美しく、残酷を超越してしまう。
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