かすとり体力

ビッグ・アイズのかすとり体力のレビュー・感想・評価

ビッグ・アイズ(2014年製作の映画)
3.8
前々から気になっていたもののそのままにしていたが、最近お仕事で「アートの価値とは?」みたいなことを考える機会が増え、良いきっかけと思い観賞したもの。

「60年代のアメリカで流行したシリーズ絵画「ビッグ・アイズ」。生み出した画家はアート界を席巻し、派手な生活を送るが、実はその絵は彼の内向的な妻が描いたものだった。彼女は真実の告白を決意し、法廷に立つ」という実話ベース作品。

まず、一本の劇映画作品としてかなり面白かった。

私、ティム・バートン監督作品に苦手意識を持っていたんだけれど、本作は全くそこが気にならなかった。

あとはもう、クリストフ・ヴァルツの「良い意味のクセ」全開映画だったな、という。
それに尽きる。

彼が持つ「演技性人格味」「根っからの詐欺師味」みたいなところが劇中人物のキャラクターと
完全シンクロしていて、彼を観ているだけで最初から最後まで楽しめてあっという間に終了。
(裁判での彼の挙動とか最高過ぎて、そこだけ後で繰り返し観ちゃった・・・)

いやあしかし、アートについて学んでいると、やはり作品の「アート的価値」だけだと作品の高付加価値化は難しく、「マーケティング的価値」をいかに付与するかも相当重要だ、という話はアートに関わる方が口を揃えて言うところなので、そういう意味ではヴァルツ演じるウォルターの「貢献」のほうにも、もう少し着目してあげても良いのでは、と思ったり。(作中での彼の取扱いではなく、鑑賞者たる我々がそういう視点でも観てあげるべきでは、という話ね)

そもそもの実話自体がスリリングで面白い上に、そこにヴァルツの魅力がオン、それでいて「シャイニングか!笑」みたいな外連味溢れる展開も用意されていて、相当サービス精神のある作品だとも感じました。

面白かったです。お勧めです。
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