このレビューはネタバレを含みます
簡易感想
ゴーストペインターとして夫に虐げられた絵描きの妻の話。
西海岸カリフォルニアの明るく陽気な画面の色合いとは真逆の凄惨極まる陰鬱な物語で、それでも観終わった後に憂鬱にならないのはどことなくコミカルな雰囲気を保っているせいかと。
しかし、夫の度重なるモラハラ、最終的には暴行にまで発展する破綻した夫婦生活、マーガレットが精神的に追い詰められてゆく程に空虚になってゆくビッグアイズの絵と、観ている側にとっても精神的にキツい内容。そりゃ、カルトに走るよ…
ラストの裁判でウォルターが演じる道化は白々しいを通り越しておぞましささえ感じる。平然と嘘をついて罪悪感を感じないのはサイコパスの所業でウォルターの気持ち悪さは最後まで怖かった。
よくぞ、この話をここまで観やすい形に整えたものだと思いました。明るくカラフルで可愛らしくさえ感じる画の中から滲み出て来る見えない毒のおぞましさに観た後ちょっと辛くなりました。
面白かったです。