りっく

ヤング・アダルト・ニューヨークのりっくのレビュー・感想・評価

4.1
ドキュメンタリー作家としてかつて傑作を発表したが次作が作れない大学教授とプロデューサーの妻。彼らは四十路も過ぎて、子供を作らない生き方を選択しそこで彼らなりの幸せを得ようとする。

そんな彼らに周囲から異なる価値観が侵食し影響を及ぼされる。幼子を溺愛しているように見える友人、そして自分を尊敬しドキュメンタリーを制作しようと夢見る一方で、日々新たな刺激を求め自由に生きる青年カップル。

彼らに影響されマンネリ化する日々に新鮮な空気を入れて、必死に新たな幸せを掴もうとする彼らは、若さと老いを感じながらも、結局は彼らに利用されるだけの存在でしか過ぎず、そして若者たちはフットワーク軽く人を利用して駆け上がる事に悪意を感じない。

そんな世の中でどう生きるべきか、最後にはヤングアダルトはニューヨークで文字通り迷子になる。さらに次の世代は赤ん坊なのにスマホを使いこなしている。恐るべき世代が次々と控えている皮肉が効いている、バームバックならではのシニカルで鋭く意地悪な会話劇である。
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