グラビティボルト

ジェニーの肖像のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

ジェニーの肖像(1947年製作の映画)
4.5
沁みるメロドラマ。
売れない画家が公園で出逢った謎の少女の肖像画を出したことで転機を迎え、やがて愛し合うようになるが・・・っていう筋書き。
かなり「思い出のマーニー」に近いニュアンスを感じたんだけど、万倍巧いし切ない。
最終的に劇中男女の愛の確証は当人同士と観客しか共有出来ない切なさがある。

「固定で撮られた四季の森からジェニーが主人公に駆け寄ってくる」
というショットがほとんどの主要二人のロマンスの切欠なんだけど、終盤、その虚実があやふやになった主人公が命懸けで大嵐の灯台に向かった先で彼女と再会するシーンのみ横から俯瞰で撮られてる。
ここ、それまで反復されたヒロインが奥から歩いてくるショットと違い、この灯台のシークエンスは二人の距離感がはっきり撮されることで、二人の愛が本物だと観客が確信することの出来るという差異が生まれていた。
彼女肖像画を主人公が描くシーンも素晴らしい光線処理が施されていて、モデルとして座る彼女もまた絵画のように彩られる手前と奥の魅せ方が粋。