雨丘もびり

シャイニングの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

シャイニング(1997年製作の映画)
4.8
【責任逃れの悲痛な叫び、そして最悪の因果逆転】
妻と子からの愛/期待に応えられない罪悪感に苛まれる父親が、その繊細さと誠実さゆえに、静かに確実に狂ってゆくプロセスは、キューブリック版にない描写。
本業の戯曲執筆が行き詰って、逃げるように別の単純作業にうつつを抜かし、安易に達成欲求を満たす中で、「ほら、自分は立派に職務を全うしている/たよってくるだけの妻や子供は怠慢だ」と家族を処罰しはじめる心理の推移には、怒りと同時に痛々しさを覚え、堪らなかった。
・・・・・この辛辣さ、キングっぽい。
   
社会的責任により狂わされ、また理性を取り戻す。一人の男のせめぎ合いが真に迫って物凄い。
俳優さん達の素晴らしい演技は言うまでもなく、注目すべきは日本語版。脚本・演技ともにパーフェクト!どんどん物語に没入していける。
   
冷蔵庫を閉めてくれたり暖炉を点けてくれたり、でも肝心なアレは自分で操作できないという、どこかしら行き届かない幽霊ホテル。
さらには予定調和に過ぎる大味ラスト。
そんなことはどうでも良くなるくらい、面白かった!
ペットセマタリーも良かったし、今のところ私にとって、キングは自作映像化に関わって正解です作家No.1。



.