Hana

グリーン・インフェルノのHanaのレビュー・感想・評価

グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)
4.0
刺激を求めて、なんも考えずに見れるホラーだと思ってみたけど、意外にも考えてしまっている。文化、戦争、あれやこれ。思ったより怖くなくて(痛そうではあった)、赤い人たちも、結構チャーミングに見えた(実際に会いたくはない)。

2年ほど前初めて海釣りに行って、太刀魚を釣って、その場で絞めて、家に持ち帰って自分で捌いてお刺身にして食べた。
ちゃんとハラワタをかき出して、丁寧に洗って、エラを切り取って、肉を三枚におろしたんだよ。
これは私にとってすごい食育体験で、命の質量、海への畏怖、食べ物のありがたみ、生き物の美しさ、新鮮な肉の美味しさ、そのとき覚えた感動は人生の中でも有数のそれだった。
彼らの行為は怖いと思う一方、とても文化的にも見えて、なんなら調理中の場面とかNHKとかの地球ドラマチック的な、真面目な番組のワンシーンかとも思った。
すごい美味しそうに食べるやん。すごく丁寧に調理するやん。割礼のシーンもだし、事故で死んだ人間もちゃんと串刺しにしていて(分からないけど弔いの行為に見えた)、グループメンバーをただの食べ物という一面的な側面でしか見てない野蛮人には見えなくて、ああなんか求めてたものと違うなあって。違う方面からダメージを食らっている。

豚は食べるけど、猫は食べない。この線引きと彼らの線引き、何が違うんだろうか、今私たちが知りうるグローバルな認識では当たり前のことって、実はちょっと視点を変えるとめちゃくちゃ怖いことなんじゃないか。文化の違いを埋めることって、途方もなく困難で、暴力的で、それでも世界はようやくここまでグローバルスタンダードが確立されてて、それはそういう暴力が繰り返された結果であり。否定する気も批判する気もない、この映画の活動家たちのようにactするわけでもなく、きっと今日も明日も美味しくお肉を頂くだろう。平日の昼間っから暇を持て余して寝転びながら映画を見て、我思うのであった。
Hana

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