ベイビー

マジック・イン・ムーンライトのベイビーのレビュー・感想・評価

3.7
最近「女と男の観覧車」の上映もあってか、多くのフォロワーさんがウッディ・アレン監督のレビューを書かれているように感じます。

皆さんのレビューを読んでいたら、僕もウッディ・アレン監督の作品を観たくなってしまったので、ここは一つ便乗させていただこうかと思います。

この作品は、1928年のお話。その時代を漂わせる質感と衣装と音楽がいいですよね。

少し気になったのが、会話が途切れたら間髪いれずに流れてくる音楽。ウッディ・アレン監督は沈黙がお嫌いなのでしょうか?

それが、気になり出して、終始"間を開ける"ということを知らない演出だなぁ… と思ったら、最後はしっかり"間"をとってオチに繋げる。本当、オシャレな演出だと思いました。

さて、今回は、根拠のない事は信じない、偏屈で稀代の天才マジシャン、スタンリーが、人の過去をなんでも言い当てる、霊能力者ソフィーの能力が偽物だと暴いて欲しこいとの依頼を受けます。

自信満々で挑んだスタンリーですが、意に反してソフィーはスタンリーの過去をズバズバ当てていきます。はたして彼女は本物の霊能力者なのでしょうか…

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世の中の真理は全て科学で証明できると信じるスタンリーは、ニーチェのように神を信じず、当然愛も信じません。

もちろん、彼のように人生において真理に頼っていくことは必要です。しかし、人生を楽しむにはちょっとしたマジックも必要。タネと仕掛けを使って、真理の見方を変えてあげることも、人生において時には必要なことなのです。


今回もウッディ節は健在でした。物語の隙間を埋めるような会話の中に、ウィットに富んだ言葉が溢れています。それが全く説教くさく感じず、人生の深みを感じさせてくれます。

これぞまさにウッディマジックといった感じ。とても楽しい作品でした。
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