Yukiko

ルック・オブ・サイレンスのYukikoのレビュー・感想・評価

ルック・オブ・サイレンス(2014年製作の映画)
4.0
2018年4月22日
『ルック・オブ・サイレンス』 
 2014年デンマーク・フィンランド・インドネシア・ノルウェー・イギリス制作
監督、ジョシュア・オッペンハイマー。

1965年にインドネシアで発生した軍事クーデターでの大量虐殺
を加害者の視点で描いたのが『アクト・オブ・キリング』。
今度は前作で扱った事件を被害者の視点から描いた続編が
『The Look of Silence』。

インドネシアで秘密裏に行われ、100万人もの命が奪われた
大量虐殺。
眼鏡技師の青年アディさんは、自分が生まれる前に兄が惨殺
されたことを知り、更に加害者達がインタビュー映像でその
模様を喜々として語る姿にショックを受ける。
加害者達がどのような思いで殺りくに手を染めたのか、そして
罪を犯したことを自覚させたいと考えたアディさんは、
オッペンハイマー監督と一緒に彼らと会うことを決意し、
視力検査を行いながら、加害者達から様々な言葉や真実を
引き出そうとする。


ルック・オブ・サイレンスの意味は沈黙の眼差し、沈黙の姿と
いう意味とのこと。
主人公のアディさんの静かな態度、だけれども目が気持ちを
物語っている。
やさしい目、冷ややかな目、目が心の中を映し出している!

何事にも、両者言い分があるはず。
何らか事が起きた時、被害者側、加害者側の夫々の、
そのような行動をとらざるを得なかった、その時の状況や
環境、気持ちがあるはず。
第三者は、両者の言い分を聞いて、初めて公平なものの味方、
判断が下せる。
片方の言い分だけを聞いての事の収め方は、真実を見落とすと
思う。

多くの人は、被害者と加害者が対峙した場合、加害者側の横柄
な態度に接したら、被害者側は激高して加害者をなじったり
すると思う。
そういうこともなく、アディさんは淡々と物静かに相手に
疑問をぶつける。
しかし、加害者側の方が詰め寄られた質問にたじたじとなり、
逃げようとしている。
両親の認知症を理由に、病気を理由に、昔のことだからを
理由に、子供だったので分からなかったを理由に。

ラストに加害者の妻が夫の昔の行為を「ごめんね」と一言謝る。
その一言にアディさんは優しい眼差しでその妻を見つめる。
そうか、アディさんはその言葉、事の真相を知った上での
そのごめんねの一言が欲しかったのかと、観ている此方は
気付く。

観ていて思うのは、自分の気持ちを抑えて行動できる
アディさんの知性の高さを感じる。
そして、抑圧された環境に身を置いての生活、我慢を強い
られ、感情を出せないでいる状況下を想像する。
対して、犯罪行為を喜々として語る被害者側の思慮分別の
欠如!

軍は惨殺の実態を黙認していたと言うが、何故だろう?
正義であるはずの警察機関はきちんと機能しているのか?
インドネシア政府はこの歴史をどう考えるのか?

重い内容だが、『アクト・オブ・キリング』とセットで
観ることをおススメします。