ふぇりな

Mommy/マミーのふぇりなのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.1
初めてのグザヴィエ・ドラン作品。ずっと観たいと思っていました。
とても良かったです。

これの前に観た作品が、ハンディを持つ人とその家族という意味では共通していた「CODA」だということもあり、余計に刺さりましたし考え込みました。こちらのほうがより切実で、支え合わなくては生きていけない状態だなと思いました。
作中のセリフにもあった通り、「愛情だけではどうにもならない」状況なのは確かです。でも、それと同時に「愛がなければやっていけない」とも思います。母も子も、別の意味で苦しいだろうし、何か一つしたところですぐに変わったり、問題が解決したりすることでもありません。どうすることが一番良いのか、結局わからないのだと思います。でも、愛をもってずっと模索し続けること、負けずにめげずに希望をもって生きていくこと、それしかないんだろうなと感じました。

別の観点で言うと、とにかく映像が美しいなと思いました。どのシーンを切り取っても絵になります。観始めてすぐに画面のサイズに驚きましたが、インスタグラムの先取りでは!?とも思える綺麗さでした。笑 このサイズというのは途中で変わりますが、どんな意味が込められているんだろう…と自分的に考えてみたところ、「狭い世界/閉塞的な世界で生きている/生きなくてはならない」ことを意味しているのかなと思いました。例えば、カイラとスティーブがダイアンにサプライズをするシーンあたりから、前向きに進んでいく展開になると、画面が大きくなっています。この変化が「狭い世界が開けて、明るくなっていく」ことを表しているんじゃないかなと感じました。

俳優陣の演技も、随所で流れる音楽も、非常に素敵でした。特に私は、ダイアンとカイラという二人の女性の連帯が素晴らしいなと思い感動したのですが、それも彼女たちの演技があってこそだなと思いました。すべてがうまくいったわけではないですが、出会ったことで二人とも、いやスティーブを含めて三人が、良い方向に変わっていけたことは間違いないし、かけがえのないことだったと思います。

人生ままなりませんが、そんな中でも孤独や孤立が一番つらいと思います。彼らがこの後もがきながらも、いつか支え合って生きていけることを願っています。私は自由に笑うスティーブが好きです。
晴れた朝に観てよかったです。とても心に残る作品でした。
ふぇりな

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