このレビューはネタバレを含みます
初めてのドラン作品、感情を揺さぶられるストーリーと映像ですべてが衝撃的でした。｢シングルマザー｣ 子どもは ｢ADHDの思春期男子｣ ｢多額の損害賠償｣ 状況だけみると悲劇的で救いようもないんですが、キャスティングの妙も作用して、決して暗い映画ではありません。むしろ、キャラクターは物語中盤からキラキラ輝きだします。C極限状態であっても迸るエネルギーというか、生命力を感じました。現実問題、あの状態の身体の大きい息子を働きながら見るのは大変なんてものではないと思います。苦渋の決断をせざるを得なかった母親の苦悩。一緒にいたいのに、仲良く平和に暮らしたいのに、どう努力してもやっぱり上手くいかない。でも、それは誰のせいでもなくて、息子も好き好んで困らせる行動を起こす訳じゃなくて、脳の発達が原因で感情や行動を制御できないんですよね。途中、感情移入しすぎて辛かったです。息を飲むラストは、美しくも切なくて、すべての登場人物を抱きしめてあげたくなりました。
