まふ

私の少女のまふのレビュー・感想・評価

私の少女(2014年製作の映画)
3.9
母に捨てられ、学校で虐められ、家では家族に虐待され、行き場も守ってくれる存在もいなかった少女ドヒ。流行りの歌を歌い踊る姿は何処にでもいそうな少女。でも時折見せるヨンナムへの執着、演技過多な振る舞いや自傷、破壊行動等は、いわゆる愛着障害から引き起こされたものだと思う。
この原因は母に捨てられた事が大前提ではある。とはいえ、継父家族や村の人が救えば良いという簡単な話でもない。閉鎖的な村社会という極めて狭い世界では愛想もなく何処か妙な振る舞いをするドヒは異質な存在だった。あの海外労働者と同じように。実のところ、継父家族も含め、村の皆はそんなドヒに恐怖にも似た感情を抱いて避けていたのではないかと思う。理解できないし深入りしてはいけない、みたいな。そもそもこの村の誰もドヒを救うことなどできるわけがなかった。
だからこそ、そんなドヒを戸惑いながらも受け入れ、そして向き合う覚悟を持って接することができたのがドヒと同じように蔑まれ、追いやられ、あの村へ行き着いた孤独な部外者のヨンナムだったのだろうと思う。
ドヒの行った事は自分と大切な人を守るための手段であり逆襲。でも、決して許される事ではない。ただ、もし何かが1つでも違っていたら、海外労働者や、ヨンナムがそうしていたのかもしれない。
これから少しでも彼女が心安らぐ日常が増えて欲しいとは思う。あとヨンナム、君はアル中の治療もしよう。
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