まめまめちゃん

私の少女のまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

私の少女(2014年製作の映画)
3.8
田舎の海辺の街に所長として異動になった警察官ヨンナム(ペ・ドゥナ)。実母が家出して義父と義祖母に虐待されていたドヒ(キム・セロン)を自宅で預かることに。そのことが小さな街をざわつかせ、義父の訴えでヨンナムは拘置される。

愛を感じることなく育つことの不幸。
マイノリティとして生きる世界で、警察官としての正義を貫く難しさ。不穏さを濃密に漂わせながらも、ふんわりと生温かい光をもつ背景との対比が、心の揺れを思わせる。

5年前に劇場鑑賞当時は韓国映画をよく知らなかった。魚が腐ったような海のニオイと田んぼの泥のニオイがいかにも漂う街の風景の閉鎖的な嫌な予感に、最初から逃げ腰だったんだと思う。

ペドゥナはたくさんの言葉と感情を呑み込んで、無表情に近くどこか諦めと若干の柔らかさを感じさせるすっぴん風メイクで、いつも私が見てきた彼女の演じる、元気で聡明で言いたいことを言うキャラと一変している。部屋は異常に清潔で物がなくて、それが逆に彼女の持つ闇を覆い隠しているようだ。

キムセロンはご登場からしてこの世かあの世か境目か、居場所がわからない不気味な存在を今作でも上手く演じている。ヨンナムを手に入れたドヒが眠りについた道中の大粒の雨は、これからの茨の道を予感させる。

差し伸べられた手を信じられるのかもわからない。
生きていくって難しい。