ふぇりな

悪童日記のふぇりなのレビュー・感想・評価

悪童日記(2013年製作の映画)
4.0
元々原作が好きで気になっていました。といいつつ、この映画の元となった同タイトル1作目しかまだ読むことが出来ていませんが…。
内容はその本のラストまでだったので、最後まで分かりきった展開ではありました。あれほど特徴的な作品を見事に忠実に映像化していて、期待通りのクオリティで嬉しかったです。
ただ、この作品は文字で読むことによってこそ、その魅力が上がる作品でもあると思うので、この映画が気に入った方にはぜひ原作も読んでいただきたいです。

この作品で特に良かったのは、最低限の演出で、冷徹で淡々とした独特の雰囲気を極力損ねないように工夫されていたところと、登場人物のイメージが(私にとってはですが)とても合っていたところです。
前者に関しては、本の方の魅力である感情を排除した雰囲気がどうしても減ってしまうという点を、(可能な限りであって完璧ではありませんが)全力でカバーしていて良かったです。後者については、本当に文句なしと言えるくらい、全員が素敵でした。特に主演の双子はイメージそのままです!

映像化するにあたって全体的にかなりマイルドになっており、エピソードもえげつないものはカットされているという印象ですが、相変わらず倫理観のない狂った人間しか登場しないのも良かったです。こういう作品も刺さる人には刺さります。ある意味では、反戦的なメッセージも感じるのではないでしょうか。

原作に勝つという程ではありませんが(そもそも比べてはいけないかもしれませんが)、丁寧な映像化だと思いました。深夜に、淀んだ目で、スープでもすすりながら、また観たいと思います。
ふぇりな

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