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メビウスのmoronのレビュー・感想・評価

メビウス(2013年製作の映画)
4.5
隙間から覗き見ることと反復とが、言葉のない映像のなかで徹底される。

驚くべきことに、性器を用いずにオーガズムに達する男たちのシーンは、われわれにとってコメディのように見えてしまう。なぜなら、人間の性欲を深刻に直視できるほど、われわれは強くないからだ。一方で、嗤うほどコメディにも思われない。なぜなら、映像上の彼らの振る舞いの根源にある浅ましさを、自分の内側に認めずにはおれないからだ。そして、浅ましさの象徴たる性器が身体から取り除かれようとも、事態はなんら変わりはしない。女もまた、男の浅ましさを嗤いながら、彼らの愚行に加担してしまうのだから。息子と対峙する妻も、「母」の顔と同時に「女」の顔を覗かせてしまう。
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