このレビューはネタバレを含みます
原作未読。ロメロ監督作以外はたとい超絶大傑作たる『ブレインデッド』といえど全て邪道!という原理主義者の与太話ですが失礼して。
『ゾンビランド』(本作のオマージュ元の一つ)が汚い足で踏みにじった、「ゾンビ」という単語を決して使ってはならないというゾンビ映画のルールを、本作はゾンビならぬ「ZQN」なる、無意識的に自分の欲望やコンプレックスを口にしたり、生前の活動を無味乾燥に続けるクリーチャーとすることで、風刺とルールの二つをクリアしています。
武器の携行が認められてない日本でどうZQNに対処するか、という描写は面白く、白眉たるはBB弾の描写で、普通にエアガンに入れて撃つより撒いたほうが効果的、という描写がよかったです。王道中の王道、スコップももちろん登場。
ただ、ストーリーが、主人公の同棲相手に噛まれた痕や、富士山の頂上のくだりがほったらかしだったり、モールの支配者がどこで噛まれたかよくわからない、と所々雑なのが難点。まあ今時日本のメジャー映画でスプラッターや気合いの入った肉体損壊描写をやってくれるってそれだけでありがたいので、文句はあまりつけるべきではないかも……。
何故か作中、「テレ東でアニメやってるうちは大丈夫」ネタで『未確認で進行形』のフッテージが使用される。
あと、これ、原作は小学館の漫画ながら、主人公の自宅にあるのがBECKとかダイヤのAとか講談社漫画がやたら積まれていた一方で、主人公の同棲相手がゴミ袋に一番最初に詰め込んだ漫画がウシジマくん(小学館)なのはギャグかなあ。そしてあの作業場のくだりは「浅野いにお◯ね」というブラックジョークなんだろうか……
ところで友松直之監督ってエキストラかなんかで画面のどこかにいらっしゃった……?