2018-08-01
東野圭吾原作の社会派エンターテインメント。
設定が原発の上を高性能陸自ヘリが、爆弾抱えて飛んでいるという無茶苦茶な設定。しかしながら、原発事故を経験した現代では、ある種の「かもしれない」という恐怖を孕んだ、どこか説得力を持たせてしまったものに。舞台を今にしていないところが、この作品のミソ。日本のエネルギー政策と、イケイケ押せ押せのバブル期の狂乱振り日本に一石を投じる、ある名も無き技術開発者の陰謀。ここが東野圭吾的ともいうべき、あの世界です。何かの連鎖で、悪にならざる得なかった善。善は容易く悪になるし、善は、ただの社会規範であって、道徳的、道義的に悪は善である、あれです。
ただこれをハリウッド的な手法で展開していくと、どこかぎこちなくピントがぼやけた作品に仕上がってしまう気がします。「容疑者Xの献身」は上手くやれたのにね。そこ、残念でした。