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オッペンハイマーのryodanのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

言うまでもなく傑作でしょうね。質の高い映像とストーリー、俳優陣の熱演、それら全てを轟音のような音響が包み込む。編集も煽りに煽ってくる、これもノーラン流の没入型映像体験なのだろう。今作で印象的だったのは、オッペンハイマーのナルシステックなところと連鎖反応という言葉だろうか。愛人への仕打ちは、そのまま爆弾開発に当てはまる。雨の中妻に叱咤激励される台詞がね。「犯した罪を憐れみや同情で全て許されると思うの?」みたいな内容だったかな?後半の、俺可哀そう感がハンパない。自分の起こした行動に責任が取れないなら、最初からするな。ナチス(ドイツ)は焼き払いたいが、突然日本って言われてアワワ。。。開発したいから、まっいっか!これが様々な人々との連鎖反応で、あれよあれよと完成にまでたどり着く。取り巻き連中が多過ぎて、はっきり言ってオッペンハイマーの心の真意が見えにくい。が、最後の最後にアインシュタインとの会話で暴かれる。。公開に先立って、顔が見えない周りの声が「原爆被害の当事者」と煽り立てる。ここだけを切り取って違和感、不快感出されてもね。。その違和感、不快感をもし、ベルリンやボンに落とされていたら共感したのだろうか?「当事者」という言葉だけが独り歩きしている。まるでオッペンハイマーのように。まぁ、自分達を当事者と思って見るのは別に構わない。それも見方だろう。ただ現実を忘れないで欲しい。「原爆」を落とした「加害国」を同盟国と称し、その国の核の傘下に入って安全保障を担保している現実と、「核」の平和利用と謳い、原子力発電所が国中に乱立している現実。これらは様々な政治的判断の連鎖反応で今に至る。2024年の当事者は既にオッペンハイマーと同等の罪を犯してやしないだろうか?
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