画家フェルメールとの関連がありそうで興味を持った作品。17世紀、絶頂期のオランダが舞台でフェルメールと同時代の世界が描かれその空気感が味わえる。
加えて、フェルメール作品にある女主人やメイドなどが「もしも生きていたら」と思わせるような物語とも言える。
以下ネタバレ感想を。
個人的には、ジャケットに画家フェルメールの象徴であるフェルメールブルー、タイトルにチューリップでオランダを思わせるため「フェルメール関連」だと思い、興味を持った作品。
フェルメールのドキュメント的作品ならば良かったが、そうではないようで、どこまで繋がりがあるのかと興味を持って見た。
ストーリーとしては裕福な貿易人に妻として買われた女が、肖像画を描きにきた若い画家とかけおちを図るも失敗、という不倫もの。
序盤から展開は読めてしまったが、主人を騙そうとするハラハラ感など面白さもあった。
テーマにキリスト教における罪に関する何かはあるのだろうと思ったが、それでも「主人可愛そうじゃない?」とか「ソフィアひどいな」とか自分勝手な人が割とメインでいらいらした。更にラストの「きっと修道院にいるんだろうなー」も当たり、そこからのもしかしたら全員ハッピーエンド的な展開も個人的には合わなかった。
同じく画家題材の恋人逃亡ものとしては「ある画家の数奇な運命」という東ドイツから西ドイツに亡命した画家のドキュメント調の作品が非常に面白かったため、今作はより物足りなく感じた。
映像としてはフェルメールブルーの衣装をはじめ、フェルメールの絵画作品を思わせる時代の空気感や光の使い方(中盤くらいまで)など映像の面白さはとても良かったが、後半になるにつれて物語重視になり、前述の通り微妙に感じていった。
映画ではフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」のオマージュと言える場面があり、構図だけでなく絵画にもある「人に言えない秘密の手紙を読む女」という共通点がある。
フェルメールの作品で描写内容まで覚えているものはそれくらいしかなくそれも曖昧だが、絵画を知っているともっと発見があるのだろうなと思った。
衣装や空気感も素敵ではあったがそれも青い衣装くらいなもので、「わたしの若草物語」や「女王陛下のお気に入り」などの衣装の方がより見所を感じた。
ちなみに、後者の作品もある一つの建物内で起こるドロドロハラハラ作品でとても面白かったのでおすすめである。