きんゐかうし卿

猛獣WARSのきんゐかうし卿のネタバレレビュー・内容・結末

猛獣WARS(2012年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

 




『絶句し憐れんだ後、嘲笑うしかない』

自宅にて鑑賞。日本劇場未公開、原題"Rise of the Animals"。アニマルパニックで一種のロードムービーでディザスターものではあるが、その原因は動物達の集団ヒステリーと説明がなされる。序盤から全篇に亘り、溢れるぬいぐるみ感の中、カモメや尻尾を振る犬と云った車中に飛び込むのやどこ向いて走ってるのか判らない馬等は本物。目新しくもないお噺に画や演出も素人レベル。全篇、緊張感や緊迫感が微塵も感じられず、きっかけを失い呆然と立ち尽くし、固まり続けるだけに見える全く華が無い演者陣。友人を拾い、道に迷ったが為、冷めきったピザを届けその儘、配達先(顧客)のパーティに参加する自由過ぎる"Pizza Eatza"の宅配バイト、更にはその営業車で何してるんだか。兎にも角にも突っ込み所が多過ぎてとても書き切れない。10/100点。

・冒頭の猫に始まり、ウサギ、犬、カモメ、鹿、リス、馬、ゴリラ、亀、ワニ、熊……と脈絡無く登場するバラエティ豊かな“猛獣”達の中、触手のみで全貌が判らない水棲生物や、河からはスッポンだか亀だかよく判らないのが飛び出す──よく判らないと云えば、パーティや車内等で貪り喰らい附いてたりする茶色い毛玉の様な塊の正体も謎である。かなりの尺を使って描かれている鳴き声が妙な鹿(中にはトナカイも混じっている)は血の飛び方がおかしいが、炎出乍ら出血するのはもっと変である──そもそも鹿類は草食動物であり、人間を襲う事はあっても食したりはしない。

・1時間ちょっとのごく短い尺なのに10分近くあるスタッフロールを眺めていると、馬、犬、カモメ、猫とクレジットされており、それぞれにトレーナーが配されている(ただの飼い主なのでは)。

・馬を蹴り倒し、熊を一刀両断でのしてしまうS.モッタの“レイチェル”、彼女は彷徨を続ける中、太く白いベルトの有無やシャツの柄等、微妙に服装が変化していた。作り手は血糊や泥等で、登場人物達の顔や服を汚すのがお好みのようであり、どう考えても返り血には見えないシーンが何度も登場する。

・エンドロールで流れるのはまるで酔っ払った勢いで録った様な酷い音質の唄であり、本篇内のBGMも画面に負けじ劣らずの出来で、今時、自主制作の方がもう少しまともな仕上がりだと思われる。真面目に作ったのなら、想い出にでも浸り乍ら仲間内で愉しむパーティービデオの様な出来栄えで、他人様に見せるべきではない完成度の代物。恐らく地上波はおろか、TV放送では流れないだろうし、偶然眼にする機会等無きに等しいと思われ、自ら手にしないと観れないと筈であり、その意味で鑑賞した者は貴重な体験を得たと云える。

・ラジオネーム〝人類の友は 地球の敵〟さん、ハムスターが暴れ出し、アライグマがゴミを漁り、“チューウイウイ”と云う名の犬が空高く吹き飛んだ(云う迄もなく某シリーズ作を捩ったのであろう)等、事態の深刻さを判ってないのはそんな報告を聴きたがり、“タイラー”と電話するJ.ローラ演じる“ディスクジョッキー”やG.A.ローズ演じる“ジェフ・ウォード”貴方達自身だ。ちなみにこのラジオ放送内で紹介される“ボブ(ボビー)”と“ロバート”って同じなのではなかろうか。

・鑑賞日:2019年1月11日(金)