マルメラ

きみはいい子のマルメラのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
3.4

「そこのみにて光輝く」の呉美保監督作品ということで、遅ればせながら鑑賞。

結論。
自分にとっては感情移入ができない作品だったので、ベスト級ではないものの、やっぱり呉美保監督作品は映画を観たなとちゃんと思える。

ネグレクトや障害、虐待などの深い問題を一本の映画で描いているので、満足という方と、描き方不足という方に分かれると思う。
自分は後者でした。
例えば、虐待に関しても。
親からやられた過去を持つ2人の母親を対比して描くことで、「親からやられたから仕方ないよね」という安易な結論に達していないのは分かる。
しかし、それが問題の解決策とも思えない。
あのラスト間際のやり取りで、彼女の心が救われたように見えるし、そう描けてると思うけど、実際はそんなに簡単ではないとも思う。
この映画が本当に虐待やネグレクトや障害に困ってる人を救えるのか疑問にも思う。
それこそ虐待だけで2時間かけても伝えきれない現状があり解決策の提示も部分的になるような問題なのに、「ぽんぽん」だけで解決に導くこの映画は楽観的にしか見えない。

あと、もう一点。
脚本の高田亮さん。
「そこのみにて光輝く」や「銀の匙」など名作を手がけている傍ら、「わたしのハワイの歩き方」という駄作も手がけている。
どっちなんだ?
上手いのか?下手なのか?
気になったので、「きみはいい子」のシナリオを映画と比べながら見てみました。
結論は、「原作ありきの作品を脚本にするのはそこまで問題無いが、オリジナル作品を作らせると酷くなる人」だと思います。
そして、「そこのみにて光輝く」の功績は呉美保監督の演出と脚本の取捨選択。それに台詞のリアリティーの出し方なのだと思う。
今作のシナリオと出来上がった映画の決定的な違いは台詞のリアリティー。
台詞の実在感が、直されたものとシナリオとでは雲泥の差でした。
やっぱり台詞って凄い大事ですね。
マルメラ

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