鍋レモン

マルティニークからの祈りの鍋レモンのレビュー・感想・評価

マルティニークからの祈り(2014年製作の映画)
3.7
⚪概要とあらすじ
2006年に韓国のドキュメンタリー番組で紹介された衝撃の実話を基に、身に覚えのない麻薬密輸容疑で逮捕され、投獄された主婦と家族の絶望と奮闘の日々を描くドラマ。

2004年10月、経済的に困窮する家族を救うためある荷物をフランスへ運んだ韓国人主婦ジョンヨン(チョン・ドヨン)は、オルリー空港で突然逮捕される。夫の友人から金の原石と聞かされていた荷物の正体は、何と麻薬だった。言葉も通じない異国の地でろくに弁解もできないまま、彼女は祖国から1万2,400キロも離れたマルティニークの刑務所に送られ...。

⚪キャッチコピーとセリフ
“妻だから、母だから、私は家に帰りたい”

「キムチ」

⚪感想
始まりは蜘蛛を踏んだことだったのだろうか。

幸せそうな家族だったのに借金の連帯保証人になったことで多額の借金を背負うことになってしまった。

とにかく序盤は父親が最低すぎていらいら。元をたどれば安易に父親が連帯保証人になってしまった父親のせいなのに全て妻のせいにする。大声で怒鳴り散らす姿もかなりモヤモヤ。

そして何より韓国大使館の対応の冷たさ。自分たちの利益優先で自分たちがしてることは正しいと思っている。
父親や母親の行動もなんやかんやですれ違い隔靴搔痒の現状。

刑務所でも囚人たちによるいじめや暴行、それを見逃す女性刑務所長。更には囚人達にレイプまで。劣悪な環境だったし。
アフリカ系の人たちに「黄色い女」と呼ばれるのもまた結構辛い。言葉は分からなくても馬鹿にされてるのは分かる。

実話を元にしたフィクション。でも実際はもっと苦しく辛いものだったのでは。
4際の娘と夫と離れ離れで756日は決して短い期間とは言えない。

麻薬の運び屋をやらされるのは経済的困窮に陥っている人が多いとか。
逮捕されてしまって罪を軽くしたいから嘘の理由を言ってる場合は最低だと思うけど、本当にこの作品みたいに経済的困窮の状況だったら救われて欲しいと思ってしまう。それでも容認したらもっと増えてしまうかもしれないし、難しい。

経済的困窮や貧困って自然災害とか病気とか事故、クビなどの要因によって誰にでも起こりうることなのに理解が薄くて、そうなった人自身が悪いとかそうした行動を取った方が悪いみたいになるから酷いと思う。
この映画の出来事だって決して他人事じゃないし、自分の家族がそうなったっておかしくないのでは。だから私は自業自得なんて言葉は使えないし、こういった状況だったら、怪しいけどバレないと信じてこの仕事をするか自殺かぐらいの選択だったと思う。
自業自得だなんて考えをしているといざ自分がそうなった時に誰からも見放されるかもしれない。

もっと大使館とか警察、政府がちゃんと現実世界でも動いてくれる体制にといいな。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

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