噂に違わぬ、なんとも優しく温かくポジティブな気持ちになれる作品！ロバート・デ・ニーロ演じるシニアインターンのベンが神様仏様の境地にいるような、あまりにも優しく寛大で、しかも落ち着いて的確な行動が取れる人物で、それに応えるかのように彼を受け入れる会社の従業員もみんなとても温かい。
シニア人材受け入れの理想を描いた、というよりもここまでくると完全にファンタジーの世界ではあるのだが、本作はそこが良い。リアリティを追求する作品ではないし、鑑賞する老若男女みんなが気持ちよく、明るい気持ちになって「明日も一日頑張ろう」と思えればこの映画の目的は達成だ！と言わんばかりの潔さが感じられるし、実際、鑑賞後に、私はそんな気持ちになった。
そういう意味では、後半の例の“夫婦のくだり”は、さすがにあまりにも丸く収まり過ぎていて、正直無くても良かったのでは？と思ってしまったが、映画としてはやはり後半に“山と谷”が必要だったのかもしれない。個人的には夫婦関係よりもビジネスでより“山と谷”が観たかった。
キャストがとても良くて、デ・ニーロとアン・ハサウェイの組み合わせが妙に合っていて心地よい。デ・ニーロは大好きな俳優で、やはり数々のマフィア役、「タクシー・ドライバー」や「キング・オブ・コメディ」などの狂気的演技に心奪われがちだが、こういう気のいいオジサン役も素敵だ。そして、アン・ハサウェイはただ美しい。スタートアップ社長、という役柄も似合っていた。
普段は重め、社会派メッセージ強め映画をつい選びたくなるが、やはり時にこういうデトックス映画を観ることで、さらに豊かな映画ライフを送れるのだな、としみじみと感じた作品でした。
