おさかなはフィッシュ

レヴェナント:蘇えりし者のおさかなはフィッシュのネタバレレビュー・内容・結末

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2時間36分と長尺だけれど、どこに腰を落ち着けるか、いまいち定まらないままに最後まで観てしまった、そんな感覚の残る映画。

まず冒頭の、先住民の襲撃を受けるシーン。
これは楽しい!一大活劇! 後から何度も繰り返し観てしまった。
カットをあまり割らずに見せて、矢の出所を写さないのがよかったなあ。一方的に蹂躙される恐怖、次にどこから飛んでくるか分からない緊迫感。

続いてお待ちかねの、こんにちはグリズリー!
人間 VS 巨大グマ!みんな大好き、滾るやつ!
いやこれ絶対死ぬでしょ…、って感じで思いっきりハグハグやられるんだけれど(しかもサービスなのか?二回に分けて!)、なんとまだ生きている…。

そんなお楽しみシーンを経て、主人公ヒュー・グラスのサバイバルが幕を開ける。
大自然の中でのサバイバルについて考えると、自然が勝ち、人間が負けて死に至るのがまず前提にある。自然には容赦というものがなく、これは当然。
そのような前提にもかかわらず人間が勝ったとき、いかにして生き残ることができたのかに私たちは注目する。

そうやってサバイバルのパートを観ていくのだけれど…。
まず、すべてのサバイバル映画において避けられない問題ではあるが、主人公がここで死ぬことはないだろうと高を括って観てしまい、どうしてもある程度の緊張感は欠いてしまう。
それに加え、冒頭のお楽しみシーンの連続が、ここにきて影響を及ぼしてくる。先住民に襲われ、グリズリーになぶられ、次はいったい何が起こるんだと、気がつけばスペクタクルを期待してしまっている。
迫真の演技は見応え抜群だが、そんなあれやこれやも相俟って、つい「どうするレオ様!?極寒の大地でドキドキぼうけん記!」なノリで観てしまう…。

サバイバルの様子そのものを楽しむのも悪くはないけれど、次第に「あれ?いったい何の映画を観ているんだっけ…?」という気持ちがふつふつとわいてくる…。
そんな中、風雪をしのぐために身を隠した雪壁に“フィッツジェラルドが息子を殺した”と書きつけるシーン。そこでようやく、過酷なサバイバルからグラスを生かし続けているのは、復讐への執念であるのかと納得がいく。
そして最後にはさも壮絶な復讐劇が観られるのかと思いきや…。「復讐は神の手に委ねる…」! えええ、そのために生魚食ってきたんじゃないんかい! 神の手に委ねるって、すぐそこに先住民の集団いるよね! そういうこと言ってるとな、突如藪から出てきたグリズリーに無慈悲に食われるぞ! など大混乱。
その後、映画は終わらずに、妻の幻影を目にするシーンに移る。そこで最終的に「ああ、彼を動かしていたのは愛だったのね… (復讐心もそこから生まれる)」と腑に落ちる。落ちるのだが、あまりにも唐突で、なんとなく整理がつかないままに映画は幕を閉じる…。

そんなこんなで、結局のところ、いったいどういう映画だったと締め括ろうか…?
このままだと、レオ様 VS グリズリーだよ…。
(文章からも困惑具合が見て取れる、そんな映画だった。)



エマニュエル・ルベツキのカメラが、観ていてちょう楽しかった。
世界中のいろいろな森へお連れして、「この植生はどう撮りますか? 撮ってみてください!」とかお願いしたい。
ルベツキの撮った『進撃の巨人』、巨大樹の森での女型の巨人捕獲作戦とかちょう面白そう…。



馬の内臓を取り出し、お腹の中に入って寒さをしのぐシーンは、初めて見たら驚きそうだったけれど、ゴールデンカムイで見ていたので「これ、進研ゼミでやったやつだ!」感があって楽しかった。

実家で藤野クマうろつき問題について話していて鑑賞。