わたP

アンダー・ザ・スキン 種の捕食のわたPのレビュー・感想・評価

3.5
美女の皮を被ったエイリアンがビリビリビリ!!ギャーー!!的な映画ではないことは聞いていたけど、ここまで変な映画だとは。

道行く男に次々と声をかけていき、誘っては捕食していくスカーレット・ヨハンソン。男を誘う場面以外にセリフはなく、無表情の彼女はこの映画中ほとんど何を考えているかわからない。もちろん説明的なセリフや描写もない。音楽も極力排されて、不穏を煽るBGMが流れるのみ。
印象的なのは捕食シーンで、真っ暗な空間にて男を誘うと段々と男が液体に沈んでゆくというものすごく抽象的でアートな描写。監督はMV出身というので、ああなるほどな。とわかったような気になったのである。
というか、種の捕食っていう邦題とか、公式HPでの説明がなければ、一体何が行われているのかすらわからない状況になる映画だろうし、その振りきった潔よさには好感を覚えるけれど、これを説明不足だと捉えられることもあるだろうし、賛否があるのは必然だろうと感じる。

そして物語は、淡々と恐らくあのライダーの男に命じられるまま捕食を続けていた主人公が、初めてなにか感情のようなものを芽生えさせるところから展開する。そのきっかけになるのがエレファントマンのような奇形の男である辺りも、この映画の思い切りの良さを感じる。

ただこのトーンで108分は少し長い、あまりに淡々としている為に体調いかんによっては爆睡すること間違いないと思うのだけど、僕は描写になんの意味があるのか能動的につかむのに必死で、不思議と退屈はしなかった。映像の力も大きいと思う。
ま、意味とかは結局そんなにわからなかったけどね。
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