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沈黙ーサイレンスーのnotのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.3
数年前に天草〜長崎旅行の前に、遠藤周作『沈黙』を読み返し、映画も鑑賞した。
作品の完成度としては原作に譲るものの、外国人である監督が解釈したこの大作は沈黙する”神”を通じて、現代人のわれわれにさまざまな事を訴えかけてくる。
それはけっして気持ちが良い類のものではなく、ともすれば普段はわかっていつつも蓋をしてでも自分から通過することを待ちたい心象風景であり、圧倒的な映像美も含めて、映像でありながらその”筆致”という表現が似つかわしい圧倒される様が胸を潰す。
原作と多少違うラストも腑に落ちた。原作同様ヒリヒリするし、この描き方には納得感がある。
宗教をテーマにした作品としては真っ向から勝負し、見事に昇華している稀有な作品だろうと思う。
鑑賞したあとはどっと疲れる。しかし、目を背けてはだめなのだ。
自分と向き合う、”対自核”な作品であり、まさしく神がかっているなにかの力が名作たらしめていえると自分の中では思う。
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