六

沈黙ーサイレンスーの六のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.0
私は、「自分は無宗教だ」と思っているような人間です。
それでも、エンドロールの虫の音を聞きながら、「信仰とはなんだろう、神とは、どういうものなんだろう」と悶々と考えていました。

ロドリゴの立たされる状況が、聖書をなぞっているようで、ロドリゴ=キリストのような錯覚を覚えた。
クリスチャンの日本人たちも、ロドリゴ自身を神のように崇めている節があって見ててむずむずする。
クリスチャンといいつつも、神道や仏教の考えが見え隠れして、日本人の信仰のちぐはぐさが垣間見えました。

映像もすごくきれいで、すべて計算しつくされている感じがした。
真っ白な砂利に転がる首と真っ赤な血のコントラストにくらくらするし、冒頭の神父たちが階段を降りていくのを真上から撮っているシーンも印象的だった。
あと、基本的にロドリゴ視点か客観的なカメラワークなんだけど、たまに自分が群衆のひとりのように感じる視点があって、ふいにリアルに感じてぞくぞくした。

アンドリュー・ガーフィールドの繊細な演技、素晴らしかった。
あと、小松菜奈ちゃんの眼差しってすごく独特だと思う。
とろんとしてて、少し色気があって、眼が離せなくなる。
牢からこちらを見る表情が忘れられない。

一概に面白いとはいえないけど、心に何かを残してくれる作品だと思います。
六