うるぐす

沈黙ーサイレンスーのうるぐすのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.4
【未読無視はつらい。】
こんなにも自分の弱さと他人の弱さに圧倒される映画はない。
そう。苦しい。観終わってお家に着くまで咳一つ出来なかった。一切の音を出したくなかった。出せなかった。

既読無視って嫌じゃないですか。
未読無視もやっぱ嫌じゃないですか。
答えが返ってこないって、嫌なんですよ。いつの時代も。
で、この映画は「未読無視されてる感」満載なんですよ。せめて既読になってくれたら、「一応見守ってくれている」とは思えるんでしょうけど、そうではないんですよ。完全なる沈黙なんです。自分の情報を何一つ与えることをしないわけですから。
好きな人からの未読無視はつらい。
経験者語るです。どーでもいいですが。
「そんな人辞めて他の人にしたらいいのに」「苦しむのは自分だよ」って言うのは簡単。でもそんな簡単な話じゃないんですよ。
その「簡単じゃなさ」から目を背けたくなって、簡単な方に行って欲しいと思ってしまう自分の弱さを徹底的にこの映画は露呈してくるんですよ。だからこそ、キツい。
しんどい。
それに加えて、舞台は昔々の日本。ますますキツい。苦しい。誰に感情移入すればいいのか分からなくなる。と思った時に居る!キチジロー。多くの観客はキチジローを基準に物語を観るんだと思う。この窪塚洋介、大肯定。いや、よく考えたら窪塚洋介ってずっと凄くないか。うん。
浅野忠信もイッセー尾形も塚本晋也も。
この映画で、日本人キャストがこんなにも輝いていることが誇らしかった。
舞台となる日本については少し胸が痛かった。
とにかく複雑に難しい、そんな映画。
うるぐす

うるぐす