アラバン

チャイルド44 森に消えた子供たちのアラバンのレビュー・感想・評価

3.7
スターリン政権下のソ連の雰囲気を味わいたいという悪趣味な理由で久しぶりの再鑑賞。

最初に観た時は、原作が大好きだということもあり、過度な期待をかけ過ぎて肩透かしを食らいましたが、前のめりな原作バイアスもなく、期待値ゼロで冷静に観ると意外と面白かった。

紛らわしいのは、この映画にとってタイトルの子供44人連続殺人事件は、あくまでも付随的なものでしかないことで、このタイトルでこの内容はどうよってところ。

スターリン政権下で理不尽に追い込まれたことで、夫婦の関係が大きく揺らいでいくところがメインで、秘密警察のレオの妻がスパイとして告発されてからの夫婦間の会話は重く切なく濃厚で、実に見応えがあります。

こんな事を言うとナンですが、なんなら事件を省いた方がスッキリして良かったような気がしないでもありません。

それゆえ「このミス1位」のキャッチコピーもミスリードにしかなってなく、紅茶だと思って飲んだら麦茶だったような、なんとも勿体無い作品。

主人公がホロドモール孤児っていうのも、今となってはかなり響くし、特捜部Qのカールとアサドが揃って出ているのも密かなポイント。
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