アラバン

こころに剣士をのアラバンのレビュー・感想・評価

こころに剣士を(2015年製作の映画)
4.1
エストニアの歴史を扱った本を読んだので再鑑賞。

不可侵条約を一方的に破ったドイツがソ連統治下のエストニアを侵略。その際一部のエストニア人はドイツ軍に編入されてソ連と戦ったために、戦後ソ連が再統治すると秘密警察に追われる身となる。

そんな悪夢のような境遇なのが主人公のエストニア人エンデル。


ちなみに、ソ連は戦後エストニア人に対して強烈な弾圧を行っていたようで、およそ7万5000人(全人口の6.5%)のエストニア住民がソ連当局によって殺害、監禁、あるいは強制移住させられたとのこと。恐ロシ、、、

エンデルは危険なレニングラードを脱出し、身分を偽ってエストニアの田舎の学校で体育教師となり、子供たちにフェンシングを教えることになる。

子供たちの悲惨な境遇、密告、反対意見を許さない保護者会の雰囲気とその後の顛末などは、ソ連の管理社会の気持ち悪さがよく出ている。

共産主義国家の悪行は何故かwスルーしがちな映画界で、こういった作品は貴重。

子供向けっぽいジャケとタイトルがアレだが、普段意識することのないヨーロッパの小国の歴史の一端を垣間見ることができるし、ピアノの悲しげな旋律が醸し出す質感や、子供嫌いなエンデルと子供たちの交流、恋人との感情を表す美しい映像など、、琴線に触れた良い映画だった。あらためて。

ココア、、、
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