YAZ

夜の片鱗のYAZのレビュー・感想・評価

夜の片鱗(1964年製作の映画)
4.3
桑野みゆきの観る
また観るです

昼は女工、夜はスナックで働
く芳江とチンピラ英次。
ホステスと客で知り合った
二人は同棲を始めるが組への
上納金に困った英次は芳江へ
売春を強要する

数年前に国際映画祭で発見されこちらで
も話題になった作品。純粋な女性が堕ち
てゆく話ですが観直してみるとイロイロ
なのが詰まっていて面白かった~。
桑野みゆきの映画でありますが平幹二朗
のしょうもないチンピラの映画でも

町に立つ芳江が客の一人との出会いから
過去を回想する形式で出会った男の今と
5年前の英次との出会いからが並行して
語られる

英次とのズブズブな関係を清算するか
出会った男との平凡な生活に納まるかの
選択に迫られる芳江ですが英次との関係
でパワーバランスがあるトラブルで逆転
するのがユニーク

セックスレスな男女関係というのは存在
しない時代だったと思われるので英次に
とって私は何?となる芳江。
トラブルからの英次の豹変ぶりに恋人で
はなくなった関係をどうするかのサスペ
ンスからのエンド

男女関係は倫理観高い正論通りには行か
ないよでもありバランスが崩れてるので
物理的な強さ(暴力)から逃げる弱い女で
なくなり英次にどう向き合えば良いのか
困惑する芳江の選択はこれしかないので
しょうか

原作者が女性というのも興味深く売春禁
止から地下に潜った女とヤクザとの関係
も。そんな闇にハマった芳江という感じ
でありますが貧困から逃れたいという心
もどこかに有ったようなのが複雑かも

二つの顔を見事に演じ分ける桑野みゆき
は素晴らしいです。悲惨な話ですが何故
か幸福な瞬間の二人も印象に


桑野みゆきの母は戦前の大女優桑野通子
で小津作品しか観てませんが娘を小津
作品で観た時は何とも言えない気持ちに
なった覚えがあります
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