39年付き合ってきた、画家のベンと音楽教師のジョージ。二人は親戚や友人達に祝福され幸せな結婚式をあげたが、同性婚を理由に学校をクビになってしまうジョージ。収入が減るとたちまち家を売る事に。行き場をなくした二人はそれぞれ別々の親戚の家に居候することになり・・
ベンとジョージは同性愛+高齢である。さまざまな社会問題を捉えながら、人間のうわべと本心をシニカルなユーモア満載で描写し、どこにでもいるカップルの愛の深さやお互いを思いやる優しさが、真逆の側面からしっかり浮き彫りになる。
今まで見えなかった部分が誰かと交わる事で見え隠れし、導かれた不穏な空気が見事な展開を見せていく。人生なんてあっけない物で思う通りにいかないことばかりだ。しかし自分の生きた証が、次の世代に何かの形で残っていくならば、その人生には十分意味があったと言えるだろう。音楽と絵画を心情描写と交差させ、あらゆる世代の愛の形を見て、彼らの素直な愛が周りにほんの少し何かを与える。
さりげなく決して重たくならず、人生と愛をテーマに、何気ない物語を積み重ねていく。上手くいかない事ばかりだから人生は愛おしく、永遠に続くものなどないから、その大切さを永遠と思えるのだろう。