nanaaron

コングレス未来学会議のnanaaronのネタバレレビュー・内容・結末

コングレス未来学会議(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

個人的ベストムービー。

過去に観たどんな映画よりも圧倒的に感動した。

バックミラーに、ビビッドカラーの背景と共にデフォルメされた老婆が映った時のはじまる感!

"究極的には、すべてが気のせいです"、クールすぎるホテルのルームサービス!

アニメならではのイマジネーションと押し寄せるサイケ的感覚がたっぷり堪能できる。

鳥になって"飛び"まくるシーン、虚しく響く"forever young"に、「違う、こうゆうことじゃないって」ってフォーエバー絶望!

アーロンの姉が行った、ナチュラリストたちの世界は、この映画においては理想を追求するあまり現実を捨てた、憂いを含んだ世界だったけど、とても神聖に見え、これ以上なく天国のイメージに近かった。

そして連鎖して大爆発していく飛行機をバックにセックス…こんなん正気の人間の思いつくことじゃないです。

熱狂の未来学会議は、行き過ぎた自由選択の狂乱!

甘美な"自由"の言葉に導かれ、自由意志を謳った欲望に、むしろ自由が犯されてる事ってありふれている。

でもこの作品それだけじゃない。

実写の映像にもアニメに負けず劣らずの超刺激的シーンがたくさん!

そして実写ならではのリアリティが抜群に機能して想像世界とのギャップに興奮が止まらず。異世界同士が融合しちゃってる。

まず、天才的な造形のスキャンドームの中でロビンが感情をさらけ出すシーンが圧巻!

ここまで究極に感情が食い物にされている描写は考えられない。

そして狂気と恐怖を増幅させるのは、そんな悲劇的場面なのにとんでもなく美しいこと。

失われてくものの価値に慄きながら、あまりの美しさを前にして無力感に飲み込まれるやばすぎ感動体験!

あとは幻想から戻った世界も衝撃!

デビッドボウイが汚いオッサンに!

物質的な価値を捨てた人間の成れの果て、うお、目が…完全に死んどる。

あれも幻想では誰もが美しい分、ゾンビなんかとは比べものにならない怖さと迫力を持ってる。全然動かねぇこいつら!

そして寝込んでいる少女は助けない!

ラストシーンはまさに希望の光。

99%が絶望だったって、これがあるから捨てたもんじゃない。

アーロンにとっては現実世界は“あっち”に蝕まれる世界だった。カイトでなんとか繋がっていたけど、徐々に衰える視力と聴力から遂に“あっち”の住人に。

20年の時を超えて、ロビンとアーロンの心がシンクロし、ロビンはドラッグによってアーロンの現実世界を追体験する。

もうこの辺で背筋ゾクゾクのびっしり鳥肌!

あぁアーロンにはこんな風に世界が見えていたのね。

追体験した最後、アーロンがそうしたのと同じように“あっち”の世界へ行くドラッグを貰い、アーロンが行ったのと同じ場所へトリップする。

あんなに現実に固執していたロビンも、アーロンに会うためなら幻覚だろうが御構い無し、むしろ幻覚だから(アーロンにとっての現実が、“あっち”の世界に有るから)こそ再会できてしまった奇跡!

愛!

こんなラストありかよ!

ロビンは何も失ってない!


Beginning and ending by Max Richter
Forever young by Robin Wright
nanaaron

nanaaron