純

あと1センチの恋の純のレビュー・感想・評価

あと1センチの恋(2014年製作の映画)
3.5
すれ違えるのも幸せのうちなのかもしれないと、物分かりのいい振りはもうやめた。誰のために用意したドレスなのか、誰のために手に入れたボストン行きだったのか、本当は誰よりも知っていたふたり。友情でしか守れない関係だったらどうしようと震える心を、一緒に鳴らす未来が果てしなく遠いね。

付き合いが長い友達だからこそ、弱虫になってしまった。新しい関係を築こうとするのは、ひとつのルール違反なのかもしれないと。好きや愛しているという言葉は特別だけど、ずるいくらいに実は曖昧なのだった。せめて、便利な言葉を上手く使いこなせるくらい器用だったら良かったのになあ。行動でなら表せる親愛のきもちを、あらたまって言葉にして伝えることは、どうしてこんなにも難しいんだろう。怖がるきもちだけが季節を超えても残っていて、戻れなくなるくらいならと封印した絆が迷子になる。好き合っていても結ばれない時間が、こんなにも長くて意地悪だなんてね。

いつだって、「愛を込めて」の言葉ひとつが真実だった。あなたに届ける最後の言葉にlove,を選んだこと。形式に沿っただけじゃないって、口にしなくてもわかりながら書いて、贈って、読んでいた。これからもずっと、たったひとりの特別な友人でいてほしい。でも、きみと友達のままでなんかいたくないから、もう嘘をつくのはやめにする。頑張っているきみも、嬉しいことがあると飛んでくるきみも、涙を流すきみもすきだけど、今僕の隣にいるきみが、一番すきだ。
純