メイキング部分がどう見てもやらせ(最後にようやく仕掛けに気付いた人がいるのだとしたらよほどメディアリテラシーがない人だと思う)で、『森達也のドキュメンタリーは嘘をつく』じみたメタ構造は単にあざといだけだ。よって秋元真夏が不得手なりにも演技に取り組むのに対し、何でも優等生的に平均点を取れてしまう生田絵梨花が自身のアイデンティティに悩む、という肝心の物語も薄まる。話は一応クライマックスに向けて集約してはいくのだが、ショボい特撮も相まって一層この映画自体が陳腐に思える。馴れ馴れしいメイキング監督の森岡龍に、アイドルファンに自らの眼差しの気持ち悪さそのものを突き付けるという意図まで織り込んでいるのだとしたらすごいとは思うが。
どうせ乃木坂を起用するなら、このようなファンを困惑させるぐらいの映画でよかったのかもしれない。だが、2時間持たせるならば一発のアイデア以上の何かがなくてはならなかっただろう。
