emily

グレイトフルデッドのemilyのレビュー・感想・評価

グレイトフルデッド(2013年製作の映画)
2.7
親の愛情不足で育ったナミは20歳になり親の死後、遺産を譲り受け悠々自適に趣味の孤独な人間観察に明け暮れていた。そんな時死が近そうな孤独な老人塩見を見つけ、興奮を覚えどんどん没頭していく。孤独のはずの塩見が信教の勧誘で訪れたスオンに心を開き、そこに救いの道を開く。ナミは孤独でない状況が許せず思わぬ行動に発展していく。

ナミがほしかったのは親の愛。
母親の注目だった。子供のころから母の注目を浴びたくて悪さをして困らせたが、全く見向きもしてくれなかった。母も父も失い、孤独な人に肩入れし、観察することで自分の物と化していく。

徐々に依存してくナミの表情の変化、そうして時折見せるふつうの少女の笑顔のギャップが見事。脇を固める俳優陣も素晴らしく,悲壮的で皮肉満載のエピソードがチープな音楽に乗せることで、さらに痛々しさを増している。

老人の復讐劇ではナミの幸せが伝わる笑顔で、皮肉にもこの世の終わりが彼女の絶頂の幸せへと導く。なんとも奇想天外な感性だが、少女期の孤独な思いのトラウマが導いた今を、ブラックユーモア満載で描いた世界観は見事。チープで現実離れした映像がまたそれを物語っている。
emily

emily