マルメラ

Re:LIFE リライフのマルメラのレビュー・感想・評価

Re:LIFE リライフ(2014年製作の映画)
2.5

数多ある脚本の書き方的な本の全てに書いてある基礎的なことを教えていたので、脚本家としての職業映画になってなくて残念。

脚本を勉強したことが無い人にとっては楽しめるのかもしれませんが。

脚本家という設定の映画なので、三幕構成的にレビューしていきたいと思います。

第一幕。
次々と企画を断られ、挙句の果てに停電⁇電力供給停止⁇。
仕方なく田舎の大学の講師に。
ここまでの流れは良かった。
テンポも良かったし、停電という映像的表現で主人公の「お先真っ暗」を示す。
良いじゃないですか!!!
幸先良いですよ〜。

田舎到着。
ファーストフードで出会った女の子と一夜を共に過ごす。
ここも、何で一夜を共にしたかとかは省略し、話を先に進めてて割と好印象。
同僚のおばさん先生を「マグゴナガル先生」と呼ぶといった台詞や、誰を生徒にするかを顔採用で決めるコメディーポイントも良かった。

全体的に第一幕はすごく良かった。
ト書や台詞にこだわりが見られ、展開もスピーディー。

では、第二幕。

授業を開始するところから。
何を話したら良いかわからず、あたふた。
何とか助けられながら脚本について話し始める。
うーん。普通。
第一幕で見せたダメ人間な主人公がいきなり良い人に。
生徒の書いてきた脚本を読み、ちゃんと指導してあげて。

第二幕に波乱がない。
淡々と良い人話が続く。
これ、ダメだろ笑
リライト必至。

パーティーで病院送りになる生徒も、なんであのシーン入れたのか謎だし。

じゃあ、どこをどう直すのか。
僭越ながら。

この映画の主人公は「一発屋として評価され、次こそはと名誉挽回を狙っている」。
つまり、主人公を一番悩ませる展開は、教えることが楽しくなってきたが、ハリウッドからお呼びがかかる。
これが主人公を一番葛藤させる展開のはずなんです。

では、そこにさらに葛藤を入れ込みます。
例えば、生徒の1人が書いてきた脚本がすごく良かった。
それを自分のものとして映画会社に売り込み。
その契約が取れてしまう。
しかし、その脚本を書いた生徒は真剣に脚本家を目指している。
また、主人公を師と崇め、尊敬している。
そんな、生徒を裏切り自分の名誉回復をすべきか?

これだけで葛藤が2つも産まれました。

この映画の問題点は子持ちの女性。
この女性の描き方が中途半端。
この映画の台詞を借りるならば「魅力がない」。
ただの良い人なんて人間味がないんですよ。
イケメンで高学歴、一流企業に勤める性格むっちゃ良い男。
そんな男に興味あります?
イケメンで高学歴、一流企業に勤めているけどEDとかさ。
逆に会社内の女性をほとんど食ってて、受付嬢から何から手を出しまくってるとかさ。
一個、弱さが無いと!!
子供を育てながらバイトを掛け持ちして、大学に通い、夢をあきらめない。
そんな奴いるか??
この女性には弱点がない。つまり魅力がないんです。

最後には中途半端にロマンス芽生えました。みたいにしてるけど。
この女性のパート削って良いよ。

あの女子大生とのやり取りを深めるべき。
観た方は分かると思いますけど。
あの女子大生が何故父親に固執しているか。また、何故、父親の年齢の男性に惹かれているのか。
脚本を読み、女子大生を知っていくことで、主人公が成長する展開にする。
また女子大生自身が、自分の脚本を見つめ直すことで、登場人物としての父親に何を求めているのかを知り、また父親の良さを知り成長する。

キャラクターの魅力の授業がそこで生きるんですよ!!
ダメな奴でもいいところはあるんだから!
ダメなところばかりに目がいってないかい?
本当に良いところは1つもない?
って。

あの、女子大生の成長こそが先生として生きることを決める要因になるべきなんです!!!

そこにさらに葛藤を入れるとするならば。
JKシモンズの娘でしたとかさ。
親友の娘でしたとか。
主人公と女子大生が真剣な恋をしてる設定なら、そこで何かしら主人公を苦しめることができるはずです。
まぁ、これは子持ち女性が出ない設定ならですが。

そして、第三幕。
女子大生との交際がバレて〜〜。
第二幕がお粗末だった為に中途半端。
主人公が何故教師として生きたいと思えたかが、分からないし。
あの女子大生との関係性も修復したのかしてないのか。
唐突に子持ち女性とロマンス始まるし。

結論!!
脚本家をテーマにした映画にしては脚本が悪い。
第一幕に見せた工夫も、第二幕からはあまり見られず。
第三幕はグダグダ。
みんな良い人でしたー!終わりー!
なんやねん、それ。

原題はRe write。
人生にはやり直しが利くんだよっていうメッセージでしょ?
主人公が諦めずにやり直しに挑む様を描かないと。
それには教師として生徒をやり直しさせないと!!
主人公の変化でテーマを伝えるという脚本の定石を踏んでいるものの。
変化に至る過程がお粗末すぎて、テーマが入ってこない。

脚本&監督のマーク・ローレンス。
この映画の主人公のように「デンジャラスビューティー」だけの一発屋と業界から思われずに、生き残って欲しいところ。
マルメラ

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