KnightsofOdessa

神様なんかくそくらえのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

神様なんかくそくらえ(2014年製作の映画)
4.0
[お天道様は何も知らない] 80点

号泣する少女ハーリーの姿から始まる本作品は、圧倒的自己肯定感の低さを誇る彼女がクズ男に人生を絡め取られていく様を観察していく。『Pleasure of Being Robbed』から6年経って再び女性主人公に戻ってきた本作品は、ハーリーを演じるアリエル・ホームズの自伝的作品のようで、処女作のエレノアの犯罪要素の方を極限まで濃縮した作品だ。そういう意味ではキャリア長編作品はどれも寒々しいニューヨークを舞台にしているが、本作品を境に犯罪映画へと舵を切り始める。知り合いの売人に対して"足したら同じだから朝の分も一緒にくれよ"と詰め寄る姿は『アンカット・ダイヤモンド』のハワードにも通づるクズっぷりで最高。

興味深いのは完全に転んでいるように見えて転んでいない感じに、展開が次々と訪れる後の作品のエッセンスが見えることか。エレノアさんもエリカ役で出演しているが、この作品以降サフディ兄弟の作品には出演せず裏方に回っていることからも、本作品が初期作品との分岐点であることが分かる。勿論、処女作と本作品の接点は女性主人公の準犯罪映画という枠組み以外にも、初めて乗る乗り物で移動したり、遠くへ行って戻ってきたりという展開まで似ていて、その連続性は垣間見ることが出来る。

という話を友人にしたところ"アリエル・ホームズ、オデッサくんのどストレートだもんね"と言われた。そうか?
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