ナチスによるドイツ民族の人口増加計画「レーベンスボルン(生命の泉)」を背景に、ある女性の数奇な運命を描いた物語。
レーベンスボルンは「アーリア人」というねつ造された優生概念により、純血性を守ることを目的としており、ドイツ国内以外にも占領下のノルウェーにも施設があった。
(北欧人の方が金髪碧眼が多く、より純血性が高いと見られたため)
ドイツ人男性とノルウェー人女性によって生まれた子供たちはドイツの施設に移され、母親とは引き離される。
ドイツ人男性と子供をもったノルウェー人女性は戦後、ノルウェー政府から迫害されることに。
実際にも最近まで裁判になっていたり、終わらない戦争の悲劇を感じました。
この作品ではノルウェーの話でしたが、フランスやオランダでもドイツ人と付き合っていた女性たちが戦争が終わった途端に道の真ん中で丸刈りにされたり、全裸にされたりする映像を見たときと同じ感覚。
さらに出自が国によってコントロールされ、その生い立ちのせいで生き方も選ぶことが出来なかった子供たち。
どう生きれば正解だったのか、果たしてどう生きれば幸せだったのか。
結局のところ勝とうが負けようが誰も幸せになれないというのが戦争。
主人公の末路まで、切なくとても苦しい作品でした。