ソラアユム

イニシエーション・ラブのソラアユムのレビュー・感想・評価

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)
3.4
翻弄される男


2人の女性の間で揺れ動く真面目な男鈴木の姿を描くサスペンス

キャストが豪華なので最後まで見れます。ラストに全振りしたような作品なので、はっきりと好みが分かれる作品だと思います。ちなみに私はダメでした笑

サスペンスで1番やってはいけないことを冒頭からかまして早くも大減点。パッケージに書いてあるので今更感はありますが、秘密がある作品の冒頭に"この作品には秘密があります"なんて言ったらダメでしょ笑。勿論例外としてあえて煽る宣言をしておいてミスリードを誘う巧妙な作りの傑作はありますが。この手のサスペンスというのは、いかに伏線に気付かれずラストに持っていくのかというのを売りにしている筈なのに、冒頭から観客に作品内のトリックを意識させるってどういった神経をしてるんですかね、製作陣は。

違和感だらけのストーリーテリング。
冒頭でしっかりとこの作品には秘密がある事をインプットされたので、違和感=伏線へと導く方程式がすぐに完成します。そうすると自然に謎が解けていく…

とまぁこれだけならまだ許せるんですけど、前述したようにラストに全振りした構造のため他の部分が非常にお粗末。主人公の同僚カイドウと一悶着あったのに、何事もなかったかのように処理された挙句、ボンちゃんが演劇にハマるという件も全く活かされない。要はラストに明かされるある秘密をカモフラージュする為だけに用意されたエピソードという印象を本作からは受ける。これは1つの作品として非常に不誠実ですよ。原作はどうなっているのか知りませんが、少なくとも映画版はドラマで引っ張っていく推進力は全くありません。

唯一の救いが木村文乃の圧倒的な美女オーラ。鈴木の「男はほっとかないよ」という台詞には大変共感しましたし、ある思いをサラッと伝えるシーンは木村文乃史上ベストアクトと言っても差し支えないかと。ここだけは本当に見て良かったと思いました。そう言った意味では"2回見たくなる"というパッケージのキャッチコピーはあながち間違いではないのかもしれない。確かに木村文乃出ている場面は全部2回見たくなる。

木村文乃が好きな方は見て損をしない作品です。