うえびん

ヴェラの祈りのうえびんのレビュー・感想・評価

ヴェラの祈り(2007年製作の映画)
3.8
キリスト教世界における
罪と愛

2007年 ロシア作品

絵画のような構図
色合いと光の加減が美しい

登場人物はほとんど話さない
何も言わない渇いた風景
雨や水の流れが
心情を映す

差し色の水色や赤色
小物の指輪、写真、十字架…
色や物が何かを語る

田舎町の一軒家
広大で美しい自然
丘の麓の教会と墓地
羊の群れ

キリスト教世界の描写は
『LAMB』にも似ている

モーセの十戒に
ヴェラの苦しみを想像する
・姦淫してはならない
・殺してはならない
・あなたの隣人に対し、
 偽りの証言をしてはならない

閉じた教会では、懺悔もできない

イエス・キリストの教え・「愛」
・エロス  (恋愛・求める愛)
・フィリア (友愛・同等の愛)
・ストルゲー(家族愛・血縁の愛)
・アガペー (神の愛・無償の愛)

罪の烙印を
アガペーに昇華させようとしたヴェラ

「愛と赦し」
妻の罪を赦せなかったアレックス

真実を知った彼が
最後に向かった先は
自ら罪を犯す道だろうか

それとも

相手の罪を赦し
ヴェラへ祈りを捧げる道だろうか
うえびん

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