ヴェラの祈りの作品情報・感想・評価

「ヴェラの祈り」に投稿された感想・評価

男性社会での女性云々という作品紹介があったけど、わたしはこれも夫婦の映画だと思った。普通に暮らしていた妻がある日突然…悲劇に襲われる家族…からの…。いやあ、女性ってやっぱり複雑なんだよねえと思った。長めのショット、印象的な映像多い。子供たちはどう思うかなこの両親

このレビューはネタバレを含みます

・四人家族で順風満帆な家庭に突如妻ヴェラが夫アレックスに告げた「妊娠した、でもあなたの子じゃない」静かにゆっくりと崩れていく日常
・ロシアの監督っぽい不穏な音楽と雄大な景色、象徴的な一本の樹と川に架かる橋、不条理な展開…はタルコフスキーっぽいってことか
・胸にくる孤独感は妻がひとり抱えていたものによるのか
noriko

norikoの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

なんとも不思議な映画。
ドラマかと思いきや突如ミステリの顔を見せるし、ミステリかと思いきや不条理で終わる。
消化しきれない息苦しさとやるせない感情だけが残ります。
そしてそんな人間たちを見つめるかの如く原野に立つ1本の樹。
その達観した佇まいは、まるでタルコフスキー「サクリファイス」のあの象徴的な樹のよう。

本作はいわゆるロシア的な映画。
非常に荒涼とした土地に厳しい自然環境、そして絶対的父権社会。
そこにロシア流の流れるような映像美と象徴の反復、そして奥行きを見せる引いたショットが加わります。
美しい。
やはりズビャギンツェフ、卓越した映像表現を持っています。

さて核心に迫ります。
なぜヴェラは嘘をついたのか?
「子どもが出来た。でもあなたの子じゃない」
この爆弾発言で家族は不穏な空気に包まれ、結果自らの死を早めることになりました。

確かにアレックスは他人行儀。
ヴェラと向き合わずヴェラに興味も持たず。
「子供のためにいい親になろう。やり直そう。」
アレックスが求めているのは、”子供のための母親”、”家事を一手に引き受けてくれる母親と言う名の家政婦”。
男の身勝手の犠牲になったヴェラ。

でもこういう自分勝手な男はなにも映画の世界だけでなく、今の世にもいます。
政府が女性の社会進出を強力に推進しても、家事炊事育児は女の仕事という風潮がまだまだ根強いです。
社会進出しても結局女の仕事が増えるだけ。
”イクメン”という言葉が如実にそれを物語っています。
育児を手伝う男が凄い、偉いという風潮に反吐がでる。
育児は手伝うものではなく、「する」もの。
だって父親だから。
父親として当たり前のことを当たり前のようにするだけなのに、それが賛美されるのはおかしい。

本作を鑑賞し、さらにそれを痛感しました。
男にとって都合の良い女。
根強い過激な男根主義。

ヴェラが「アレックスの子であることは間違いない」と言った瞬間、非常に爽快な気分になりました。
ああ、アレックスに命がけの反抗をしたのだなと。
自分を道具のように扱ったアレックスに、彼が最も打ちのめされる方法で反逆したんだなと。
そしてそうするしか楯突く手段がなかったことに、涙さえ浮かべました。

が涙が零れず引っ込んだのはその後の台詞故。
「社会の子だから」
え?社会主義の話だったの?
男社会に反撃の狼煙を上げる話ではなかったの?
製造元が誰であろうと社会の子だから関係ないって言いたいの?
完全な消化不良に陥りました。

鑑賞視点間違えたのかしら・・・
これは要解説です。
coco

cocoの感想・評価

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ロシア監督だけど果てしない無国籍感。聖書の一節を捉えたような、普遍的な理由と簡素なモチーフです。中学生の頃『父、帰る』に衝撃を受けてから新作をずっと待っていた。それこそ難しい映画も観るようになったけど、ズビャギンツェフは全然違うベクトルだった。笑
tjr

tjrの感想・評価

3.6
きびしい映画。原野に立つ1本の樹、一本道を走る車、吊り橋、羊の群れなど絵画的なショットの反復には心奪われる。
オープニング、樹を起点として工業地帯を抜け街へ負傷した男が車で戻ってくる、という犯罪の香りに興奮するも、その後の重苦しささと演出の大仰さ?にそこまで乗れず。「父、帰る」の救いの無さは好きだったが…
常に死の香りが取り巻く夫婦の危機。未婚男性としてはにわかに恐ろしくなってくる。妻が現れる度に違う色のワンピースを着ているのも他者性を強めている
kny

knyの感想・評価

3.8
画は相当美しい
美しいけど少し長く感じる
大画面で観てみたい
男性心理、女性心理
自分の周りの結婚した人間がもう少し軽くではあるけどぶつかる問題な気がした
未婚のため、客観的に観てしまう。
内容は未婚、既婚、男女、様々考えられそう。
少し歳いったらまた観てみよう
吉木

吉木の感想・評価

4.0
その一言が、振り回し妄想させて狂わせる。
nori

noriの感想・評価

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ヴェラは夫と2人の子供を持つ主婦。
夫の実家に夏の休みを過ごしに行ったとき、夫に妊娠したが、あなたの子ではないと言った。

夫は悩むが、兄に相談し、医者を連れてきてもらい、中絶をしてもらう。
それがうまくいかなかったのか、ヴェラは亡くなる。
事情が事情なので、こっそり葬儀まで済ませる。

その頼りになる兄も持病を悪くして亡くなる。

一体、妻をこんな目にあわせたのは誰なんだと悩む。
過去を振り返るシーンでそれが分かる。
ヴェラは、1人悩んでいた。
誰かに心の中を相談できれば良かった。
それができず、彼女の心の中には、夫も子供もいなくなっていたのだ。
自分が気づけば。。。
で、終わるのだが、
子どもはその後どうなったのか?
兄は何をしていて、なぜ死んだのか?
が分からないままだった。
Rily

Rilyの感想・評価

4.5
高低差の激しい一本道、何度も見え隠れを繰り返しながら走る一台の車、その様子を映したロングショットを観て話の筋をなんとなく理解したつもりだったのにことごとく覆された。この夫婦が互いに感じる絶望感ってよっぽど現実味ある気がして嫌になる。自分の寝顔を泣きながら見られているっていう描写ほど残酷なものはないな。
skip

skipの感想・評価

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定めた画面を眺める行為。所作は家族でありテンポは揺るぎようがない。カメラが女性になる瞬間毎に我々は異質なものと対峙しざわめかされる。羊の姿を好むかは個人に委ねるとしても自然描写は相性よく脚本を再現する。ドラマチックな構成はどうすれば正解かなど無責任な鑑賞者たる私が考えることはしないがやはり前述の異質さは突き刺さった。