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救いの接吻のnagashingのレビュー・感想・評価

救いの接吻(1989年製作の映画)
3.5
ガレル一家がほとんど本人役で総出演。ブリジット・シィの「自分を映画に出し、ふたりでいっしょに映ってほしい」というガレルに対する哀訴は、まもなくメタレベルにおいて実現してしまい、映画はすでに達成されていることに拘泥するという分裂を抱え込むことになる。その虚実の乖離は夫婦を物語に喩えることでようやく解消されていき、子どもは虚構を維持する装置なのだという指摘も、映画=夫婦生活に二重に彩りを与えるルイ坊によって一応の説得力を帯びてくる。自己言及的すぎてかなり倒錯した映画。
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