秋月

トイ・ストーリー4の秋月のネタバレレビュー・内容・結末

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

大事な 大事な セカンドチャ~ンス(児玉清風に)



最高だ!


これは破壊と再生だ!



まずこの物語にモヤモヤしている方はウッディを玩具として見ている可能性がある。
ウッディを自分と重ねられるかが大きなポイントだと思います。


何かを成し遂げた、目標を達成した、もしくは大きな失敗をした、挫折をした。で?その後はどうする?

そこに留まり続ける?

自分のやりたいこと出来てる?

自分の内なる声とは?



やりたいことが出来ないからそこから去る。
これは逃げだ!
これが出来ないなら、その逃げた場所でもきっとまた逃げ出す!

そう思っていた昔の私はアルバイトを辞めていく者や会社を退職する同僚を引き止めていたことがある。


そして、自分が辞める時に過去の自分が立ちはだかった。



これが出来れば、資格が取れれば、自分はこんなとこにいないのに
やっとの思いで資格を手にして新しい仕事をしても、もしくは資格が取れずに前と同じような仕事をしてもそこでまた失敗してしまう。

しかし、きっとあなたを必要としている人がいる筈だ。
元々不良品の玩具であるギャビーギャビーは、自分の声が治れば、ちゃんとした玩具になれる。玩具として生まれてきたのだから誰かの為に、誰かを喜ばすために生きたい。
ウッディの声を受け継ぎ念願叶って手にした自分の喜びの為の一歩は無惨にも打ち砕かれる。
それでも、彼女は恐怖を押し退け、再びチャレンジする。自分と誰かの喜びの為に


自分の役目はフォークだ、そしてその役目を終えたフォーキーはゴミになる。それが至高の喜びだと信じてやまない。なんどもゴミになりたがるがウッディが止める。
そう、このウッディは過去の私だ。しかし過去の私と違うのはウッディは新しい喜びをフォーキーに教える。

誰かに必要とされていることの喜びを...


同時に新しい価値観を知らされる。ゴミの喜び、迷子の玩具の喜びとは?
そんなの不幸に決まってる。

そう信じてやまないウッディの前にかつての仲間ボーが現れる。
ボーは迷子の玩具になっていた。

しかし、それを最高だと言っている。新しい喜びをボーは見つけた。


ボーと過ごしているなかでウッディは揺らぐ。

俺にはこれしかない。
ボニーの為に尽くす
でもボニーは自分のことを必要としていない


ウッディが出した答えは、自分の価値観を壊して、新しい価値観を受け入れることだ。

それを玩具としての核となる録音の声をギャビーギャビーに譲り、自分が壊れた迷子の玩具、ゴミになる。そしてそれを新しく生まれ変わると言った演出にしているところが素晴らしい


自分が過去に築いた核となる内なる声(録音された声)を破壊して、新しい価値観を構築する。

これは破壊と再生だ。
これは非常に重要なことだ。

自分が築いてきた価値観とは、そんなに正しいものなのか?
私は趣味で歌を習っている。
しかし中々上手くならない。

それは何故か?
自分が上手いと思う声や歌い方をしているからだ。
つまり、自分が考えた、『上手い』を基準にしているからだ。
それが間違っていると気付くのに5年かかりました。笑
というか歌の先生の言うことは理解しているつもりでしたが、先生の言うことを聞くことが出来なかった。
何故なら、先生の言う『良い声』は私にとって『悪い声』だったからだ。

その自分が良いと思う価値観を壊す。そして私が悪いと思う価値観へと向かう。

そしたら世界が拡がった。
自分の価値観や考えがとるに足らないことを思い知った瞬間だ。


この時思った。私が考えていた仕事の価値観や考えも間違っていたんじゃないかと。思い詰めないでもう少し上手くできたんじゃないかと。

しかしこの破壊と再生。
自分の価値観を壊すことは好きなことじゃないと出来ない気もする。

本当に好きだからこそ、それができる。

この自分の価値観を破壊することを最近では知的謙遜というらしい。




この映画や私の言っていることが理解出来ない人も多いと思う。
というのも私の父や知り合いの60代男性達は映画や小説というものをなぜ見るのかという問に対して

自分以外の人生を経験できるからと答える


しかし、これはあくまでその物語の主人公や登場人物に対して、自分ならこうする ああすると言った、自分の想像で自分以外の人生を経験しているにすぎない。ただの妄想だ。自分が主人公の立場に本当に置かれたら自分の想像した通りの行動ができるか?

現実はそんなに甘くない


自分の経験に即して見ることが重要だ。自分の経験に当て嵌めることにより物語の登場人物達が置かれた立場と決断の重さの意味がわかってくると思う。

つまり自分の経験に当て嵌めることが出来ないのならまだそれを経験していない可能性がある。
こんなことを言うとその者の経験の乏しさを指摘しているように聞こえるかもしれないが、そんなことは決してない


今後、もし何かに思い悩み、誰かを、もしくは自分を傷付けてしまうなら映画や小説、漫画、音楽、絵画に目を通して欲しい
貴方は一人じゃない、貴方に寄り添ってくれる作品は必ずある

自分の価値観を破壊することはとても難しい。自分の行動に矛盾を感じてしまうから。
しかし、その矛盾も自分が考えた矛盾だ。また宮崎駿はその矛盾と伴に生きる決断を下している。


出来ないと思うなら私が代わりに答えよう!


yes we can!!!!
秋月

秋月