yunumata

幕が上がるのyunumataのレビュー・感想・評価

幕が上がる(2015年製作の映画)
4.0
エンドロールで5人が踊り出した途端に、「わっ、本当にアイドルだったんだ!」って驚かされた。さおり、歌声可愛いな、地声とぜんぜん違うぞ……。演じる歓び、何かを生み出してゆく輝きがギュッと詰まった、素晴らしい物語。「舞台の上でなら、どこまででも行ける」「稽古して稽古して、死ぬ」ナド、ぐっとくるセリフも多い。「あー」とか「うー」でもいいのだ、自分の言葉を、声にして発するのだ。
たいへん私事ですが、中学の演劇部で僕が初めて演ったのが「銀河鉄道の夜」で、二年後にはそこではじめて一から脚本を書いて、劇中に登場するいっこ上の先輩が当時の先輩そっくりで、黒木華(素晴らしかった!)まで当時の僕の顧問の先生に雰囲気が似ていて、宮澤賢治の一番好きな詩(「告別」)まで引用されてて、ムサビにこまばアゴラ劇場まで登場して、何だかマジで他人事とは思えないような映画……。劇中で登場する、実際のいばらき総文の高校演劇がどれも素晴らしく、あの赤い絨毯の質感、舞台裏の雰囲気までもが、封印していた中学時代の記憶からまざまざと蘇った。だから、そういう自分の思い出バイアスは、どうしてもかかってしまっているかもしれない。だから見たかった映画だし……。後半めきめき良くなっていくだけに、やっぱり前半の女の子たちの演技には、少し入り込めないものがあった。中盤の夢シーンも意味不明。そしてこの映画「も」ですが、特に最初30分のモノローグがちょっとうるさめだったかな。 / しかし本広カントク、キャスティング(平田オリザまで人形で登場するぞ)で笑わせようとするのはホント、やめて欲しい! 実際、笑っちゃうから。特にヒゲェ! 何やってるん!!

レンタル(2015.10)
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