ガンビー教授

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちのガンビー教授のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

物語には多少「うん?」となる部分がないわけではありませんが、何よりティム・バートンにしか撮れない瞬間が詰め込まれた間違いなくティム・バートンにしか撮れない映画になっていて、その時々に驚いたり、不意を突かれたりして楽しむべき作品だと思います。

コマ撮りアニメによるいかにもグロテスクな人形どうしの決闘など、感動的でした。欲を言えばサイレントヒルっぽい化け物(ホローガスト)と骸骨の決闘というこれもまた素晴らしく「らしい」絵づらが登場するのですが、これがコマ撮りだったら(無理を言うな!という話ですが)感動で泣いていたかもしれません。
この決戦の舞台が遊園地というのも良い。ここのアクションがちょっともっさりしてるかなーと感じてしまいますが、まあ、それはそれで一つの味わいだと思ってます。そういやこの場面で監督のカメオ出演があった気がするのですが、秒数が控え目すぎてちょっと確信が持てません。

閑話休題。
沈没船の幻想的な描き方もよく、悪役周辺の悪趣味描写も素晴らしい。サミュエルLジャクソンはいつも通り最高だし、いかにもB級Sci-Fiみたいな科学実験(からの失敗)のシークエンスとか、「お前こういうの好きよな……俺も好きだぜ……」て感じでした。何よりホローガストが襲い掛かってくるあたりのホラー描写はまったくもって楽しかったです。階段の下から今にも上がってくる影だけが見えてる……とか最高じゃないですか。

ホローガストと言えば、最初におじいちゃん(直接の親より祖父母のほうに親近感を持っているのもティムバートン作品らしいですね)が襲われたあと、何かおそろしい化け物の姿を目にしてしまうシーンで、後から「ああ、あの編集のしかたはそういうわけだったのか」と気付かされ、普通に上手いと思いました。

気になったところとしては、いくつかあるのですが、テーマ的なところで最後まで引っかかってしまう要素として、父親との確執が時間がなかったからとでもいうような編集によって最終的にうやむやにされて終わってしまうところ。ちょっと、1シーンだけでも良いからどうにかならなかったんですかね。

全体には満足です。『ビッグ・アイズ』でやっと迷走を抜け出た印象のあるこの監督が、ふたたび商業性と作家性の落とし所をきれいに見いだした感じ、と言えば良いのでしょうか。監督のファンにとってはそういう感動もあるかもしれません。
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