掴みは良かったんですがねえ・・・・。
リンダ・シンクレア(ジュリアン・ムーア)は、ペンシルバニア州の小さな町の高校で英語教師をしている。小さい時から文学が好きで、物語の世界のロマンスに心を震わせていたので、現実社会での恋愛には全く心がときめかず、45歳にして独身を貫いている。
このリンダが独身生活を楽しんでいるオープニングにすごい共感しました。生活はシンプルで質素だけど、一人で気楽!仕事は楽しいし、何も困らない!
一応、出会い系で色々デートしてみたけど、やっぱこれと言っていい男はいない。この、出てくる男たちがいかにも出会い系にいそうなやつらで、先生であるリンダの洞察と採点が的を得ていて爆笑しました。
ある日リンダは元教え子のジェイソン(マイケル・アンガラノ)にばったり出くわす。ジェイソンはすごい才能のあるライターで、卒業後はブロードウェイの脚本家になりたいとニューヨークへ出てったはずなのに、なにやってるの?と言うと全然通用しなくて夢をあきらめて戻って来たらしい。
リンダはジェイソンの書いた脚本を読ませてもらうが、とても感動し、学校の演劇部の先生カール(ネイサン・レイン)に見せると、彼もこの脚本を気に入る。
ジェイソンは胃炎を患っていて、どうもこの人は精神的に弱いらしく、こういう人はブロードウェイとか大きいところを目指さないで、ローカルなシアターとかでやる方が向いているんじゃないかなあとか、高校の演劇部だと、内容によって色んな制約があって、そのせいでシェイクスピアとか定番しか演れなくてつまらないんだなあとか、そういうのがわかって面白かったのですが、こっから先はこの演劇の話が中心になり、リンダの「お1人様」の話はどっか行っちゃて、ガッカリでした。
色々気になることがあるんですけど、リンダはジェイソンとセックスしちゃうんですね。演劇のことで、放課後クラスで話していると、精神的に弱いジェイソンが泣き出し、それを慰めていたリンダにキスしてくる。
で、リンダはそれでぴっきーん!とスイッチが入って、お互い激しく求め合うんですけど、陳腐な脚本ですなあ。
これがもちろん後でバレて、リンダは「元教え子とセックスした」ってことで学校をクビになるんですが、まず第一に、ジェイソンは成人なので、それに関してはなにも問題はない。次に、どういう経緯でそうなったか、ジェイソンの方にも責任はあるのではないかということは誰も言及せず、女だけが一方的にクビになり、尻軽扱いされる。
なんで男は全く裁きを受けないのだ?
唯一リンダに責任があるとすれば、学校でいたしたのは良くなかったかもしれないが、問題はそこではなく「元教え子」とした、ってことなんですよね。これって脚本が悪いのか、今でも世の中ってこうなんですかね。
で、追い出されたのに、公演の数日前に演劇の先生が具合悪くなって入院することになり(この人もメンタル弱いらしい)、校長は、リンダに戻ってきて欲しいと言う。
リンダは生徒に冷たくされながらも公演にこぎつけるのだが、当日演劇の先生は退院してきて、「もう大丈夫だから。ありがとう」と言ってそっからは自分で引き継いで、リンダのやって来たことはすべてこの人の手柄になる。
こういう、「女性が尻拭いしているからやっていける男」が平然と当たり前みたいに女性の功績を無視するのって、うちの職場でも良くあって、本当に腹が立つわ~って思いながら観ていました。
で、公演は大成功に終わり、スタンディングオベーションの中、演劇の先生は舞台に上がってうやうやしくお辞儀をし、脚本を書いたジェイソンを舞台に呼ぶ。
ジェイソンは、エンディングを変更されたから、これは俺の芝居じゃない!とかさんざん言ってたクセに、絶賛されると臆面もなく舞台に上がる。
あとコイツ、リンダとセックスしておきながら演劇部の女子高生(リリー・コリンズ)とも関係を持つ。
このジェイソンのキャラ、最初は好感度高かったのに、ヴィランキャラになっちゃって「?」。演劇の先生のカールも、最初リンダと仲良しだったのに、結局リンダを踏み台にする。
ストーリーとしてはアレだけど、これって結構現実的だよなって思った。男性は職場で平等を叫ぶ女性たちを「めんどくさい」「なにが不満なんだ」って思っているのかもしれないけど、多分、男性はカールやジェイソンのようなことをしているのに、悪いことをしたって感覚が全くないのかも、と思わされた。
んで最後、意外な人と意外な関係になるリンダ・・・・ここまで気楽なお1人様を貫いて来たのに、止めなさい!と「文学の神様」が叫ぶのを無視してデートに出かけるリンダ・・・・ボーイフレンドが見つかったから、職場での不平等なんかいーじゃん、ってこと?なんつー納得行かないエンディング!