J四郎

奴らを高く吊るせ!のJ四郎のレビュー・感想・評価

奴らを高く吊るせ!(1968年製作の映画)
3.8
クリント・イーストウッド主演の西部劇。
マカロニウェスタンでスターとなった彼がハリウッドに凱旋した作品で、ブルース・ダーンやデニス・ホッパーも出演しています。

イーストウッドが登場していきなり私刑に遭い、縛り首にされてしまう。
という衝撃のオープニングから始まる本作。
なんとか助けられ、復讐に燃える彼は保安官になる。
この地方が保安官の人手不足に悩んでおり、奴らを追うなら保安官になっちゃいなよ!ってノリ。

え?そんな簡単に保安官になれんの?と思ってると、翌日から必要あらば悪人も殺しちゃっていい!の特典満載の保安官ライフがスタートします。(あ、その代わり仕事はブラックでキツいっすよ)
この主人公は元保安官って経歴があるとはいえ、法を尊重してるようで、なんちゅう無法地帯・・・。
この下りも後のテーマ性へと繋がってるんだろうけどね。

舞台はオクラホマが準州だった時代らしく、広い管轄内に保安官が足りません状態で犯罪が続出している。そのため中々、州にランクアップできんようだ。
オクラホマが州に昇格するまでを調べると、その経緯は結構面白くて、これも一つの映画に出来そうなくらいだった。

この作品のテーマは恐らく復讐だけど、悪人でもちゃんと法に則った形で裁判を受けさせようぜって事だろう。表向きは。
しかし、そう思ってたら考えが揺らぐ場面が途中にある。
ある意味、この映画最大の見せ場である公開処刑のシーン。
その描写は形式だけ整っても、私刑とこれのどこが違うねんとでも言いたげだ。
終盤で判事が本音をもらす所も印象深い。
法とは?正義とは?その境界線は?人が人を裁く限界は?・・等々と考えさせる内容かな~。

主人公も法には頑固だけど、一本筋が通ってるのか?と思えば途中で揺らいじゃってるし。
最後まで観ればこれもテーマに連なる演出だろうとは思うけど。
カッコ良いと言い切れる人物像じゃあない。

しかし、本作は銃撃戦はあるものの、そっちはメインじゃない。
それ故にマカロニ・ウェスタンのノリを期待すると、まあダメでしょうね。間違いなく物足りない。
ラストも、え?そこで終わり?
と消化不良を感じる人も多いんちゃうかな~と思う。
この作品が提示するメッセージ性にノレないと、イマイチ面白味に欠けるんでは?と思いますねぇ。
J四郎

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